サンタのブログは渋滞中

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この時期に聴きたくなるアルバムJET CO.(完全版)

2作目のフルアルバム

JET CO.はUNISON SQUARE GARDENの二作目のフルアルバムだ。発売されたのは2010年の4月7日だが、いまだに根強いに人気があり熱狂的なファンが支持するフルアルバムだ。前作以降のシングル表題曲「cody beats」を含む12曲を収録している。逆に言うとシングルはその一曲のみ。タイアップのついた楽曲は収録されていない。勿論有名な曲なんて全然ないのだが、そこが物好き達から熱狂的に好まれている。字の通り俺達は熱く、狂っているのだ。

UNISON SQUARE GARDEN JET CO.

中身

それでは、収録されている曲を一曲づつ紹介していこうと思う。

 

1.メッセンジャーフロム全世界

どれほど世界が変わろうとも、自身も自信も揺るがない。

派手過ぎず、地味すぎず、丁度いいところからイントロが始まる。半端なことも、妥協もせず、自分たちが楽しいことを只々追求するというスタンスを宣言しているようにも思える。ファンとの距離感も揺るがない。たまには意見を求めることもあるかもしれないが、少しチヤホヤしたくらいで有頂天にも偉そうにもならないでください。そういった自分たちの意見を届けるための曲なのかもしれない。一曲目にして最高のつかみなのである。

 

2.コーヒーカップシンドローム

まわるまわる、世界はまわる、僕らを中心に?

タイムスリップのような効果音ののち軽快なリズムのイントロからこの曲はスタートする。シンドロームは訳せば症候群という意味だが、イメージとしてはピーターパンが絡んでいるのだろう。ピーターパン症候群とは『成長することを拒む男性』のことだそうだ。サビで出てくるルーフトップは屋上やテラス等の開放的な景色を楽しみながら飲食できる場所を指す。とどのつまり、世界はめまぐるしく変化し、周囲もどんどんと大人になり、自分だけが世界から切り離され子供のままだ。別に、大人になんてならなくても、変化していく世界を、景色として楽しめばいいじゃないか。もどかしいかもしれないけど、でもそれを感じているのは君だけじゃないはずだ。コーヒーカップからのぞいたようなその世界をまわす中心にいるのは、僕達か、君か?そんなことが言いたいのかもしれない。無邪気な童心のままでいることを、テーマパークのようなワクワクが詰まったおもちゃ箱を開ける瞬間の気持ちを、肯定してくれるのがこのJET CO.というアルバムなのだ。

 

3.チャイルドフッド・スーパーノヴァ

ルールはある。やぶることも、たまにある。

やくそくは”一時間”だけ 

でもそんなに うまくはいかないでしょ

ゲームガチ勢が言うととたんに説得力が変わってくる。この冒頭部分の歌詞は、トンガリキッズの「B-DASH」を彷彿とさせる。

この曲は少年の欲望と我慢と憧れを描いている。スーパーノヴァとは超新星爆発のことだ。少年は"記念日"に、カナアミを抜けてドリームランドへ行ってしまう。思い立ったが吉日という言葉がある。"記念日"というのはこの吉日のことかなと思う。やりたいことがあるなら、がまんなんてしないでアシカセを外してめいいっぱいやってみればいい。必要なのは、ひざをかかえて オンネノンすることではなく、貯金を(=努力を?)することだという感じに思える。………オンネノンって何や…?

 

4.cody beats

僕は行く、君の待つ場所へ

歩き出すとか言いながら、終始エレベーターに乗っているのがこの曲のMVである。このMVはカービィ洞窟大作戦を思い出す。

youtu.be

この曲は正直、ラブソングだと思っている。これが、恋心なのかもわからないし、片思いかもしれない。障害は多く、辿り着く頃にはボロボロになっているかもしれない。告白をしようとしている男の子、チョコを渡そうとしている女の子、そんな気持ちを歌っているのではないだろうか。片思いや失恋の歌が好きな僕がこの曲を気に入っているのは、暗にこの曲がそういう曲だと、無意識のうちに理解しているからなのかもしれない。

 

5.気まぐれ雑踏

悲しくなくても涙は流れる。

ここまでとは打って変わって、終始ゆっくりとしたテンポで進むバラードが5曲目に収録されている。ここまで目まぐるしい変化を、テーマパークを楽しんできた。変化する世界の中には新しくできるものもあれば、古く取り壊されるものもある。テーマパークにいる間も、ずっと遊んでいないといけないわけじゃない。雑踏というのは人ごみのことだ。人ごみは疲れる。少し休憩することも大事だ。ひとり立ち止まって休憩して、ふとした時に涙が流れることもあるだろう。誰かに頼ることもあっていい。ブログも気まぐれに更新したっていい。書きたいときに書けばいい。

 

6.キライ=キライ

 もういいや、ありのままを全部話そう

また、打って変わって、トゲトゲした曲に戻ってくる。この曲や2曲目のコーヒーカップあたりは手術をする前の鋭い斎藤の声がよく似合う。逆に、今現在の斎藤ならどう歌い上げるのか、というところも非常に興味深い。

「うるさい」という言葉は漢字にすると五月の蠅と書ける。あまり実感はないが、5月の風はうるさいのだろうか?「芸能はしたくない」、「あまり見つかりたくない」が口癖の某ベーシストだが、周りに騒ぎ立てられるのは煩わしいようだ。ロックバンドの動機はシンプルで、自分たちの楽しいことをやる。それさえ明確ならもうハードルは4つぐらいしかないし、そんなに難しくないぞ…と。どこまでが本気なのかは分からないが、そんな話をしているように思える。本当にキライなのは誰のことなんだろうか?特定の他人か?その他大勢か?はたまた自分自身か?

 

7.ライドオンタイム

思いつくまま言葉を並べて 歌いだせばミュージシャン

言わずと知れたBIGMAMAの名曲。9月に行われた「fun time HOLIDAY ONLINE」。俺達が一番聴きたかったのはこの曲だったのかもしれない。「お待たせしました。」と言わんばかりにBIGMAMAは一番盛り上がるタイミングでこの曲を披露してくれた。生のLIVEで聴くと鉄板のこの曲は、夏を終え意気消沈していた俺達に「ONLINEでもフェスはできる。」ということを示してくれた。

コマがそろう 足も動く 

それなら準備オッケーじゃん

全くその通りだ。どれだけ世界が変わっても、悲しみはいつかは終わる。生きてる限り、楽しいことはいくらだってある。俺たちにできるのは、悲しみが終わった先に、音楽が生きていられるよう互いに支えあうこと。それだけなんじゃないの。君は違うの?

 

8.meet the world time

死ぬまで覚めない夢を見る。

リズム隊大はしゃぎのイントロから始まるこの曲は、終始一定のリズムのドラムが心地いい。7曲目同様、この曲もサビで同じフレーズを繰り返す曲となっている。time(タイム)のつくこの二曲は曲順から見てもこのアルバムの中核を担っていると思う。この曲のサビはメリーゴーラウンドという歌詞を繰り返す。このアルバムのパッケージの中心に描かれているのもメリーゴーラウンドだ。テーマパークのセンターを張る責任感を背負って今日もメリーゴーラウンドは回っている。

今俺は世界をすごろくに見立てて

6通りの道を延々と進んだ

冒頭の歌詞がすごく印象的だが、何を意味しているのだろうか。筆者が思うに、その人が人の役に立ち、自分ができる、楽しめる生き方なんて6パターンぐらいしかなくて、少しの選択肢のずれが生じても結局は6つのうちのどこかに帰着する。帰着してしまえば、あとはおおまかにみると同じことの繰り返しで、あとはチャンスをつかめるかによって、夏にも冬にもなる。そんな日常が延々と続いていくのが人生だと言っているように思える。大局観?もしくは達観?ともいえるかもしれないこの考え方は、筆者の一番好きな曲である『サンポサキマイライフ』にも通じるところがあると思う。

usg724santa.hatenablog.com

 

9.夜が揺れている

楽しい時間は、あっという間に終わってしまう。

Vo.のタメから入るこの曲は、このアルバムで最も暗い曲調となっている。ここまで、このアルバムにおいてさんざん出てきたアトラクションを指す歌詞はこの曲以降出てこない。ともすれば、ここから先は一日テーマパークで遊んだ日の夜を表しているのかもしれない。この曲のサビには春夏秋冬の季節の情景が出てくる。桜や花火をみんなで楽しむ時間というのはあっという間に過ぎ去ってしまう。そして、一人になったときにふとさみしさがこみあげてくる。そして空に昇るように意識を手放して人は眠りにつくのではなかろうか。今日という日に「ありがとう」と「バイバイ」を告げて。

 

10.アイラブニージュー

当然ながら、今夜も最高のライブを!

三度軽快なリズムに戻って、アルバムはクライマックスに向かっていく。さっきの暗さが、嘘のように明るく、能天気な軽薄さを感じる曲調だ。まるで、幽体離脱でもしたかのよう。

マスコミさえ信じなければ

なんとか平和にやってけるぞ

こんな曲の中に、グサッと刺さる歌詞を忍ばせるから、このバンドの作詞作曲家は侮れない。「マスコミなんて、書きたいように視点を変えることができるから、本当に信じれるかどうかは、自分の目と頭で考えなけりゃいけないよ」というようなことを10本腕のドラマーが言っていた気がする。人気のバンドもライブハウスに足を運び、自分での目で確かめないとならない。もちろん、このバンドのLIVEはいつだって最高だから、だまされたと思って直接見てほしい。それは、この俺が保証する。

 

11.スノウアンサー

降り続く雪だけが答えを知っている。

現状では三作ある、スノウシリーズの二作目だ。4月にリリースしたアルバムなのに雪を冠する曲があるのも、この時期にこのアルバムを聴きたくなる理由なのかもしれない。この曲は、ホワイトクリスマスの曲だと思う。筆者の一番好きなクリスマスソングは山下達郎の「クリスマス・イヴ」なのだが、この曲はユニゾン版「クリスマス・イヴ」という風に感じる。

この曲の物語は終始不明瞭な歌詞で進んでいく。文章としては成り立っているように見えなくもないが、一番大切な対象を示す目的語が常に抜け落ちているのだ。そんな、キーワードが読めないときの英語長文のような歌詞の中、物語は進んでいく。

キレイゴトに聞こえるなら

見ろ、バカ

もう一つの曲とは違い、この曲ではオフマイクで「バカ」と叫んでいる。この遠さはすごくいい演出だと思う。ここの歌詞は10曲目の話とも通ずる。たとえ、離れていたとしても、自分の目で見る努力をしないと幸せには近づかないと、そんなことが言いたいのかもしれない。でも、その答えを僕は知らない。

 

12.23:25

可能性なら、いくらでもある。

8曲目から4分以下の短めの曲が続き、ラストのこの曲は、5分21秒と長めの曲になっている。 ここまで、クライマックスに向けてだんだんと盛り上がっていた高揚感から、爆発的に下っていくような疾走感は、さながらジェットコースターのようだ。筆者は、初めて行ったユニゾンのLIVEでこの曲を聴いた。ダグアウトにも収録されていたため、知っていたこの曲は、そのLIVEのアンコール前で演奏されていた。そのことからも、このバンドのラストめの曲なのだという印象が強い。

この曲名の意味に関しては、度々考察される。一番わかりやすいものでいうと、Cメロのキメの数だ。2回、3回、2回、5回と繰り返されるキメは、LIVEで聴くと最高に気持ちがいい。

歪んでいたのは昨日のせいだった

上記の歌詞から読み取れるのは、日をまたいでいる、ということ。朝を迎えているかは分からないが日をまたいでいるのだと考えられる。

最近見かけた考察の中にこんなものがあった。”回帰線(23度26分)の1分前。23:25。つまり、帰ろう世界へ、の世界に帰る目前。”なるほど、ありそうな言葉遊びだと思う。望遠鏡や球体の上に乗って地球を探検、なんていうフレーズも出てくる。冬至夏至、北と南で太陽が真上に来るタイミングはひっくりかえる。

曲名の話から離れると、言いたいことは大体こんな感じなのかもしれない。人生は、山あり谷あり、変化するように見えて続いている。現実なんてあべこべなんだから、自分で見方を変えて七色のステージに変えてしまえばいい。浅はかな夢だと笑われても、願って走り出せばいつかは叶う。台本通りになんてやらなくたっていい。可能性なんて、いくらでもあるのだから。

 

なんでこの時期に聴きたくなるのか?

一つに、スノウアンサーがホワイトクリスマスの曲だと感じられたから、というところが大きいと思う。これまで、あまり意識してはこなかったが、季節を考えれば、クリスマスの雰囲気は歌詞にもちりばめられていると考えられる。

もう一つに、テーマパークのパッケージがあると思う。テーマパークというものは、それだけでは別段クリスマスと関係するものではない。ただ、テーマパークは子供心が詰まった夢の象徴だと考えられる。そして、それはクリスマスにも言えることだと思う。きらびやかなイルミネーションは非日常のワクワクを演出する。テーマパークやクリスマスの演出は、大人が童心に帰ることのできる魔法だと感じる。

今年はLIVEがなくなって絶望している人も多いかと思う。その中で、家で、もっと言えば一人で、このアルバムを聴いてほしい。来年や、それ以降の可能性を夢見て、今年を生き延びていきたいし、いってほしいと思う。